
店頭で見る「このエアコンの年間電気代」は「あなたの家の電気代」ではない
こんにちは、エアコン営業歴15年のこたんです。
家電量販店のプライスカードには「このエアコンの年間電気代」が表示されていますよね。
分かりやすくて、一目でエアコンの省エネ性能を比較することができます。
でも、この電気代ずいぶん安すぎるように思いませんか?
結論から言えば、量販店などで掲示している「エアコンの年間電気代」と、「私の家でかかるエアコンの年間電気代」は全然違うことがあります。
なんだか思ってたより電気代が高くついたよ
そんなことにならないように、店頭表示されている「電気代の前提」を詳しく解説します。
また、最後には前提を踏まえて、電気代で比較するとどんなエアコンが良いかをご説明します。
- 「エアコンの電気代」4つの前提
- 電気代は東京を前提としている
- 電気代は、冷房27℃、暖房20℃を前提としている
- 電気代は、6時~24時の使用を前提としている
- 住宅性能は木造住宅を前提としている
- 年間電気代の使い方 同じ畳数のエアコンの省エネ性能の比較ができる
- まとめ
「エアコンの電気代」4つの前提
それでは、エアコンの電気代の前提について詳しく解説します。
そもそも、家電量販店でよく見る「このエアコンの電気代の目安」って何をもとにしているのでしょうか?
エアコンの年間電気代はカタログに記載の「期間消費電力」に電気代単価(例えば31円/kw)を掛けて算出しています。

出展:ダイキン工業空調製品カタログ(https://ec.daikinaircon.com/ecatalog/index.html)
この「期間消費電力」とは、JISで算出方法が決まっており、メーカーが前提を揃えて電気代を計算してくれています。
全メーカー共通の計算条件なら、比較しやすくて助かるね!
分かりやすい反面、あくまでも「あるモデルケースでの電気代」です。
「あなたの家の電気代」と勘違いしない様に気を付けてください。
それでは、JISで規定されているエアコンの電気代について代表的な前提を4つ解説します。
出展:日本冷凍空調協会より抜粋https://www.jraia.or.jp/product/home_aircon/e_saving_energy.html
「エアコンの電気代」の前提4選
- 地域は東京を前提としている
- 設定温度は冷房27℃、暖房20℃を前提としている
- 時間は6時~24時 一日つけっぱなしを前提としている
- 住宅性能は木造住宅を前提としている
電気代の前提を確認した上で、私のおすすめのエアコンの選び方は、こんな感じです。
- まずエアコンの電気代の前提を確認して、自分が「カタログ値よりたくさん電気を使いそう」か確認しましょう!
- たくさん使う方は、畳数の大きいエアコンは、省エネ性能を考慮して選びましょう!
- 畳数の小さいエアコンは、省エネ性能は気にせず選びましょう!
それでは、順番に解説します。
電気代は東京を前提としている
地域によって大きく電気代は変わりますよ!
エアコンは、暖房の方が電気代がかかります。
これは、エアコンが室内外の熱を交換する装置であることを考えるとすぐに分かります。
- 冷房 屋外38℃ ⇔ 屋内27℃ (エアコンで交換する温度 11℃)
- 暖房 屋外2℃ ⇔ 屋内20℃ (エアコンで交換する温度 18℃)
室内外で交換する温度は、冷房と暖房で7℃(18℃ー11℃)も変わってきます。
そのため、暖房する機会が多い地域の方が電気代は高くつきやすいことになります。
東京より寒い地域なら、カタログ値より電気代は増えやすいってことだね。
電気代は、冷房27℃、暖房20℃を前提としている
店頭で表示している電気代は、冷房設定温度27℃、暖房設定温度20℃を前提としています。
さすがに控えめすぎない?僕は冷房24℃、暖房26℃くらいにしてるよ!
こう思った方は要注意!カタログ値よりたくさん電気を使っている可能性があります。
確かに冷房27℃、暖房20℃は環境にやさしい設定温度です。
ですが、この温度で使っていない方は、自分の設定温度で電気代を補正した方がより正確な電気代目安になります。
設定温度の変更についてエアコンメーカーのダイキン工業がこんなことを発信しています。
設定温度を変更した場合の電気代の目安
冷房運転 設定温度を 1℃上げると、設定変更前より 約 10% の節電効果があるとされています。 暖房運転 設定温度を 1℃下げると、設定変更前より 約 10% の節電効果があるとされています。 https://www.daikincc.com/faq/customer/web/knowledge2699.html
ざっくり、冷房でも暖房でも、1℃上げ下げすると電気代が10%変わるっていう感じですね。
仮に冷房24℃(JIS27℃)、暖房26℃(JIS20℃)で設定している場合は、カタログ値より冷房で30%、暖房で60%消費電力が増える可能性があります。
電気代に大きく影響するところなので、エアコンの使い方を十分確認してください。
電気代は、6時~24時の使用を前提としている
生活スタイルによっても電気代は当然変わってきますね。
エアコンの運転時間も、電気代を決める大事な要素です。
カタログ値は、朝6時~24時までの連続運転を前提といています。
ちなみに、1日の運転時間だけではなく、冷暖房の期間もこう定められています。
- 冷房期間(5月23日〜10月4日)
- 暖房期間:(11月8日〜4月16日)
カタログ値より電気代が安くなる、高くなる人が分かれる要素かもしれません。
電気代が安くなる場合 | 電気代が高くなる場合 |
・共働きで普段家に居ない人 ・客間などで普段使わない部屋 ・暖房はあまり使わない人 | ・ペットを飼っていて24時間エアコンをつけっぱなしの人 |
当然ですが、長く使えば使うほど電気代は高くなるので注意が必要です。
住宅性能は木造住宅を前提としている
これは、ちょっと評価の難しい前提と言えますが、例えば、よく言われることとしてこんなことがあります。
- マンションの中層階は、上下左右壁を挟んで生活空間に囲まれているので、エアコンの電気代は安い
- 高気密高断熱化が進んでいる住宅のエアコンの電気代は安い
私の経験上も、マンションの中層階に住んでいた時から築古ハイツの角部屋に引っ越した際、電気代は2倍近くになりました。
また、最近の高気密高断熱の住宅はエアコンの能力を落として設計されており、1台で1件の空調をする家も珍しくなくなってきました。
年間電気代の使い方 同じ畳数のエアコンの省エネ性能の比較ができる
さて、カタログ値の電気代4つの前提を説明しました。
以上を踏まえて、自分がカタログより「たくさん電気を使いそうか」「あまり電気を使わなさそうか」を考えてみましょう!
年間消費電力は、「あなたの家のエアコンの電気代」ではありませんが、「エアコンAとエアコンB、どっちが省エネなの?」を知るにはとても分かりやすい数値基準です。
僕はたくさん電気を使いそうかな
そう思った方には省エネ性の高いエアコンが有力な選択肢です。
例えば14畳用のエアコンでこの2機種を比較してみました。

約500kwh×31円 年間電気代の差額は約15,000円程度です!
これなら、省エネエアコンにするメリットも十分ありそうです!
一方で、6畳用のエアコンはどうでしょうか?

約110kwh×31円 年間電気代の差額は約3,100円程度です!
もちろん上位モデルの方が快適性や、冷房暖房能力に差はあります。
でも、電気代が年間3,100円お得なだけでは、決定的な理由にはならないですよね。
つまり、私のおすすめはこうです。
- まず、自分がカタログ値よりたくさん電気代を使いそうか、前提を確認しよう!
- 電気をたくさん使いそうな人は、リビング用エアコンは、省エネ性能を考慮して選ぼう!
- 寝室など畳数の小さいエアコンは、省エネ性能は気にしないで選ぼう!
まとめ
店頭でよくある「このエアコンの年間電気代」が「私の家の電気代」ではないことについて解説させて頂きました。
記事内では、代表的な電気代の前提は次の4つを解説しました。
「エアコンの電気代」の4つの前提
- 地域は東京を前提としている
- 設定温度は冷房27℃、暖房20℃を前提としている
- 時間は6時~24時 つけっぱなしを前提としている
- 住宅の断熱基準は木造住宅を前提としている
また、4つの前提を踏まえて、14畳用、6畳用のエアコン電気代の比較の仕方をお伝えしました。
- まず、自分がカタログ値よりたくさん電気代を使いそうか、前提を確認しよう!
- 電気をたくさん使いそうな人は、リビング用エアコンは、省エネ性能を考慮して選ぼう!
- 寝室など畳数の小さいエアコンは、省エネ性能は気にしないで選ぼう!
電気代はエアコンを決めるとても重要な要素です。
本記事を読んで、表面的に掲示されているエアコンの電気代からもう一歩踏み込んで、自分にとって一番いいエアコンを選んでいただけたらとてもうれしいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。